
その日、お客様は恥ずかしそうに席につきました。

お客様
『このウィッグ(部分かつら)… お友達に貰ったの。 これに合う感じにしてちょうだい。』

僕
『どうしてそのウィッグを付けたいんですか?』

お客様
『私の分け目のところがペッチャリしてるでしょ? 薄く見えるのが嫌なのよ。』

僕
『それなら今の髪型変えたらそのウィッグ付けなくてもすみますよ。』

お客様
『え? そうなの? 本当!?』

僕
『今の髪型は、分け目がしっかりしているボブスタ… 昔で言うならオカッパですよね? これを少し前の方に流すように上の毛を短くしてくしゃくしゃってしたらふんわりしますよ。』

お客様
『え? そんな風に提案されたこと無いから嬉しいわ! ぜひそれでやってちょうだい。』

僕
『はい、かしこまりました。 途中で何度も確認してもらいながら切っていくので嫌だったらいつでも言ってくださいね。』

お客様
『嫌なんて言うはずないでしょ? あなたのその自信と話し方でできるってわかるわよ。 おねがいね。 なんだか楽しくなってきちゃったわ。』
という会話でカットがスタートしました。
ここはとあるデイサービスです。
ご高齢者の方が、日中リハビリや交流を目的に集まる施設です。
その中の一角にカットスペースを設けて自力で理美容室に行けない方へ技術を提供しています。
その日は、初めて行くデイサービスでした。
そのデイサービスは、みなさんが明るくて元気でよく話しかけてくれるところでした。
だからなのかわかりませんが、いつも以上に楽しくお客様と接することができたのかもしれません。
約20分後、そのお客様はニコニコでこう言ってくれました。

お客様
『本当にありがとう。こんなに変えてくれてありがとう。ドライヤーの使い方も教えてくれて嬉しかったわ。』

僕
『これいいでしょ? ウィッグなんて使わないでもこんだけふんわりできるんですよ(^^)』
すごく簡単に言うと、ピタッとした分け目のあるオカッパ頭をイケイケの小林幸子にした感じです。
伝わりにくいですか?
こんな感じです。
エンタメラボより画像引用
間違えました。
こっちでした。
俺的ゲーム速報より画像引用
こんな感じの”ふんわりマッシュにカット”しました。
軽くしすぎず、重みを残しながらふんわり感を出しました。
すごく喜んで頂いて、名刺をちょうだいと言われたのですがあいにく名刺は持ち歩いていないことを伝えると
紙切れでいいから名前と住所をちょうだいとのことでした。
数日後、嬉しいプレゼントが手元に届きました。
お手紙と手作りの置物とお菓子
パーキンソン病を患ってらしゃるのにこんな繊細なものを作ってくれました。
こちらのお菓子も美味しくいただきました。
一生懸命、書かれた直筆のお手紙に涙が止まりませんでした。
最後にお気遣いでお返事は不要と書いてあったので…
この感謝の気持ちをお手紙ではなく、僕が命がけで取り組んでいるブログで表現したく記事にさせていただきました。
得られたものとは、物質的なこれらのものではなく【気持ち】です。
この【気持ち】をまたいただけるように、技術はもちろんのこと自分の人間性も高めて精進したいと思いました。
理美容師をしていて最高に嬉しい出来事でした。
https://lifelifelife.tokyo/